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「擁護すべき」主張すらない首相 福島氏の痛烈皮肉(産経新聞)

 フランスの思想家、ヴォルテールのものだとして伝えられている次のような言葉がある。

 「私はあなたの意見に反対である。しかし、あなたがそのように主張する権利は最後まで擁護しよう」

 社民党の福島瑞穂党首に上記の言葉を贈りたい。しかし、鳩山由紀夫首相に対しては贈りようがない。「擁護すべき」主張を自らが次々と覆してしまうのだから。

 米軍普天間飛行場移設問題をめぐって、鳩山首相が28日に福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免したことに伴い、社民党の連立政権離脱が確実となっている。社民党は30日の全国幹事長会議をへて、連立解消を正式に決定する構えだ。

 福島氏は罷免された28日夜、党本部で記者会見して、次のように言った。

 「私は言葉に責任を持つ政治をやっていきたいと思います。だからその言葉に従ってサインをしませんでした」

 社民党はこれまで、執拗に「国外、県外」移設を強く訴えてきた。安全保障上の観点から、その主張の是非には議論があるところだ。日米間の防衛、外交の現実に目を向けずに実現性の薄い案にこだわり続ける社民党の姿勢は無責任だという批判を免れない。ただ、そうしたことを承知の上で、あえて言う。仮に福島氏が署名してしまったら、世論はどう受け止めただろうか。今までの社民党の言動は何だったのかと不信感をもたれるのは間違いない。社民党支持者の信頼を一気に失うことは必至だ。

 そういう意味で、「国外、県外」という主張を繰り返してきた社民党の党首が今回の鳩山内閣の対処方針に署名しなかったことは、十分に納得できる。言行一致である。その主張の内容にうなずくことができなかったとしても、である。

 これに対して、鳩山首相の態度はどうか。ご存じのとおり、鳩山首相はこれまでに「3月末決着」「5月末決着」「最低でも県外」など、さまざまな“公約”を国民に提示してきた。だが、それらのうち、ひとつも実現できなかった。鳩山首相の発言の「軽さ」は、これまでも多くの人々が指摘してきたところでもある。

 記者会見での福島氏の「言葉に責任を持つ政治」という発言は、鳩山首相のこうした姿勢に対するあてつけである。痛烈な皮肉、批判、抗議である。

 普天間飛行場の移設先については、名護市辺野古がもっとも現実的な案だったと言えよう。だからこそ、自民党政権も米国と協議の上で、この地への移設を決断したのだ。鳩山首相はその案を拒否し続けた挙げ句、展望のない非現実的な発言を繰り返し、結局、めぐりめぐって辺野古への移設に戻さざるを得なかった。その結論そのものについては、むちゃくちゃなことにならずに安堵した人も多いだろう。

 ただ、辺野古を否定し続けてきた鳩山首相がこれまで国民に向かって話してきたことは実現できなかったわけで、「うそつき」と首相をののしる声が上がったのも当然と言えば当然だった。

 ここに、鳩山首相と福島氏の決定的な差がある。自民党の石破茂政調会長は29日朝のテレビ番組で、「辞めるべきは福島さんではない。それは首相だ」と述べた。たしかに、そういう面がある。(五嶋清)

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